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外へ出ると、店の前にたむろっていた白い鳥が空へ舞った。
日差しは弱々しいけれど心地よい。
なんでもない日だ。
僕ら以外に誰もいないことを除けば。
彼女は二度、三度と入念に臭いを確かめたあと、恐る恐るホットドッグを口に運んだ。
「うん、まだ腐ってない!」
弾ける笑顔。陽に照らされる彼女を見れば、外で歩きながら食べるという作法も納得できる。
「僕のぶんも残しておいてよ」
受け取ったホットドッグをかじると、久しぶりの肉の味が口のなかいっぱいに染みる。
「この世界で最後のホットドッグかもしれないね」
「また見つけようよ!」
「……そうだね」
いつまで二人きりの放課後はまだ続けられるだろうと少し考えたけれど、やめた。きっと、終わるときは終わる。
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