163 大好きです、札幌
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163 大好きです、札幌

「『札幌を盛り上げる会』って。この街はもう十分盛り上がってるだろう?」 慎也の声に野口は首を振った。 「そんな事は誰でも知っています。これはまあ、顔を売る会ですよ」 そういって野口は慎也にコーヒーを出した。 「参加者は皆、札幌に本社がある企業や著名人ですよ。これに夏山愛生堂が行かなくてどうするんですか?」 「だって。面倒だよ?それに北海道でうちの会社を知らない人なんかいないし」 そう言って慎也は熱いコーヒーを飲んだ。 「だからこそです。うちはこのパーティーに参加して、道内のリーダーとして」 すると慎也はジロリと野口を睨んだ。 「違うよ野口。俺達はリーダーなんかじゃない……。道民の命を守らせてもらっているんだ。そこの所を勘違いすると、あっと言う間に倒産するぞ?」 「社長?そこまでお考えとは……」 社長業を嫌々していたはずの慎也がいつの間にかまともな事を言う様になったので、野口はジーンと胸を打たれていた。 「そうですね。私が間違っていました。謙虚な心をすっかりどこかに置き忘れていました」 「今すぐ捜して持って来い!……ええとじゃあ、その懇親会に参加すればいいんだな、まあ、仕方ないか」
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