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雪が溶けるまででいいから、一緒にいさせてと懇願した私に、彼は困惑の表情を浮かべた。
「でも俺は、もうじき死ぬんだ」
「う、嘘でしょ?私の事を何とも思ってないならそう言って……」
「嘘じゃない!……本当、なんだ……」
項垂れる彼に、本当を見た。
私は言葉に詰まった。そして彼の胸に、思いきりすがった。
いろいろな感情が入り乱れて、言葉の代わりに次から次へと溢れてくるのは、ただただ涙だけだった。
大きな声で、みっともなく泣きじゃくる私が泣き止むまで、彼は無言で私の頭に手を添えてくれた。
「病気……なの?」
やっとの思いでそれだけ聞くと、彼は小さく首を振って、私に教えてくれた。
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