恋慕し

6/9
前へ
/24ページ
次へ
 だから私はこの山に来た。  そう、私は家族の元へ向かうためにここに来たのだ。  私も同じ、雪崩の起きた場所で、一緒に天に昇ろうと。  でも、余りの吹雪にその場所を見失い、精根尽きた私は、あの場所で足を止めた。  --もう、ここでいいかな、いいよね。お父さん、お母さん、お兄ちゃんーー  それなのに……  そんな私に、この世にいることの喜びを教えてくれたのは、彼。  ぬくもりを教えてくれたのは、彼。  誰かのために生きたいと思わせてくれたのも、彼……
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加