1人が本棚に入れています
本棚に追加
どれくらい背負われていたのだろう。突然彼が私を降ろすと、両手で目の前の雪山を掻き分け始めた。
「ちょっと待っててくれよ」
私は言われるままに、その場で立って待っていた。
暫くすると、そこに木製の扉が現れた。
雪山かと思ったそれは、山小屋のような小さな家だったのだ。
彼はゆっくりと扉を開けると、再び私を背負おうとした。
「あ、もう大丈夫ですから」
慌てて彼を制止し、私は自分の足で中に入った。
でも、中は真っ暗で何も見えない。
私が立ち尽くしていると、彼が私の脇を過ぎていく足音だけが聞こえた。
やがて、部屋の中央で、ゆっくりと暖かい色が灯り、部屋全体をゆらゆらと照らした。
最初のコメントを投稿しよう!