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「お前、なんであんなところにいたんだ」
聞かれて私は咄嗟に答えた。
「と、登山の途中で疲れてしまって、休んでました」
「日が暮れる時間に登山か?素人かあんた」
そう突っ込まれて、私は言葉に詰まった。
これ以上突っ込まれないようにと、逆にこちらから聞くことにした。
「あなたこそ、あんな時間に何してたのよ」
少し口調がきつくなってしまったのは、私自身焦っていたからかもしれない。
「俺は、下山途中だった。そこでお前を見付けてしまって……」
そこまで言って、彼は口元を押さえた。見付けてしまってという言い方に悪意はないということかもしれない。
「あなたこそ、日が暮れる前に降りれなかったなんて、素人じゃない」
それにはすぐさま彼が答えた。
「俺にはこの家があるからな」
てっきり山小屋かと思っていた。まさかここが彼の家だったなんて。
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