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そして
「ねえ、どうしてそんなに隅っこにいるの?あなたはあたらないの?」
囲炉裏をはさんで、彼は私の真向かいの壁際にもたれながら、私をじっと見ている。
「ねえ、寒くないの?もっとこっちにおいでよ」
すると彼は、小さく首を振ってから、小声で答えた。
「あんたみたいな綺麗な娘のそばになんて、俺、いられないから」
……胸を射抜かれた。
綺麗だなんてさらっと言ってくれる割には、その頬は真っ赤に染まり、あきらかに戸惑いの表情を浮かべている。
彼の胸に光る、革製のネックレスのペンダントトップまでもが、真っ赤に染まっているような気がした。
男の人を可愛いと思ったのは、この時が初めてだった。
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