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「元々人懐っこい人の集団だから馴染むのが早いのは分かるけど、まさかロボットのヒナタに対しても人情に厚いとは思わなかったなぁ」
「それだけ博士の人柄や仕事に対して住民其々が感銘を受けていたのではないか」
「え?」
「博士の日頃の行いが素晴らしかったという事だ」
「……」
確かに父は町の人に優しかった。頼まれ事は積極的に引き受けていたし人付き合いも満遍なく平等に広く展開していたように思えた。
愉しい事も辛い事も自分の事のように受け入れていた。
(そんなお父さん絡みだからヒナタの存在も受け入れられたって事なのかな)
「……」
多分そればかりではなくヒナタ自身の態度──というか人格……ロボット格? そういうのも大きく影響していると思う。
「小春」
「わっ」
いきなり目の前にヒナタの顔があったから驚いて大きな声を出してしまった。
「どうした」
「あ、ご、ごめん…。いきなりヒナタの顔が近かったから」
「驚かせたか」
「ううん、ヒナタは悪くないから」
「今から田中家に行って来る」
「うん、行ってらっしゃい」
(はぁービックリしたぁ)
慣れたつもりでいたけれどやっぱりまだ気が抜けた状態で近づかれると驚いてしまう。なまじヒナタが私の好きな男性のタイプに近いから困ったものだ。
(これってお父さんがわざとそういう風に作ったって事なのかな?)
好みのタイプと一緒にいる時間が増えれば増えるほどその存在が気になるものになって来る。それは相手が人間なら当たり前の事だけれど……
(それってロボットでも当てはまるのかな?)
なんて事をふと考えた私だった。
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