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ヒナタが家に来てから家の中はいつもピカピカだった。多分私ひとりだけだったらこうはいかなかっただろう。
それに父が突然いなくなって天涯孤独になったというのにヒナタがいてくれたお陰で寂しさは随分和らいでいると思う。
だからつい零してしまったのだ。
「……ヒナタがいてくれてよかったぁ」
「──え」
それは私の何気ない呟きだったのだけれどどうやらヒナタにも聞えていたらしい。だってヒナタの頬が仄かに赤くなっていたから。
(え?)
今までにこんな表情は見たことがなくて、私はヒナタの顔から目が離せないでいた。
「……何を、言っている」
「……」
(なんだかヒナタが動揺している?)
ロボットなのに──?
それに……
(ロボットって赤くなるものなの?)
次から次へと湧いて出てくる疑問に私の頭の中は疑問符でいっぱいになっていた。
だけどやっぱりずっと考えていた事の疑問は核心に変わりつつあるのも薄々気がついて来た。
(やっぱりヒナタはロボットなんかじゃないよね)
いくら父が優秀な科学者だったとしてもこんなに人間くさいロボットを作れるはずがないと常識から考えて思ったから。
(やっぱりちゃんと確かめないといけない)
私はヒナタとの和みのひとときを過ごしつつある決意をしていた。
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