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「君、そんな可愛い身なりして実は男を追い回すようなしつこいふしだらな女だったというギャップはよしてくれよ」
「……えっと…いっている意味がよく解りませんけど」
「僕は騙されない。可愛くおねだりされても惑わされない」
「……」
(どうしよう……変な人、なのかな?)
少し怖くなり、今日のところは一旦帰ろうかと思った。
「で、君の会いたい人というのは誰? 訊くだけ訊いてあげるけど」
「……」
タイミングが合わず帰りそびれてしまったので一応訊くだけ訊いてみる事にした。
「あの、心理科学部臨床心理学科の佐野准教授という人に会いたいんですけれど」
「佐野先生?… ……どうして君が」
「あ、知っているんですか?」
「知っているとも! ──あ……でもまぁあまり喋ったことはないが」
「よかった! あの、もしよかったら案内してもらえませんか?」
渡りに船──とばかりに私はこの機会を活かしたいと思った。
「いやいや部外者に対して先生を安易に会わせるなんて出来る訳がないとは思わないかい? まずは君の身元や素性をはっきりしてもらわないことには通せる話も通らないよ」
「あ、そうですよね。あの、私は野々宮小春といって先日亡くなった父が此方の大学で──」
「えっ?!」
私の自己紹介の途中でいきなりその男の人は驚きの声をあげた。
「? あの……何か」
「き、君……野々宮って、ま、まさか野々宮清次博士の──」
「父をご存知なんですか?」
「わぁぁぁぁぁぁぁ──!!」
「?!」
突然男の人が大きな声をあげてその場で地団駄を始めたので大層驚いてしまった。
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