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父が死んでから一週間、その珍客は突然私の前に現れた。
「えっと……今、なんて……」
「もう一度説明する。俺はヒナタ。野々宮博士に作られた人型汎用ロボット。博士の遺言に基づき博士の娘である小春の家族になるためにやって来た」
「……」
「……」
(えーっと……)
何……?この人?
すごく……ものすごーくカッコいいのに……
(言っていい冗談と悪い冗談がある事を知らなさ過ぎる!!)
「あのですね、私、そういう冗談は──」
私が不機嫌モード全開で彼に嫌味のひとつでもいおうと思った瞬間
『小春──』
「?!」
ヒナタと名乗った男性が上着のポケットから取り出した小型のボイスレコーダーから今は亡き人の声が聞こえて来た。
『これを小春が聞いているということはお父さんはもうこの世にいないのだろうね』
「お……お父、さ…」
一気に涙が溢れて来た。
『お父さんが携わっている研究は危険が付きものでいつどうなるか分からない中、小春をひとりにしてしまう場合に備えてこうやってお父さんからのメッセージを残しておきます』
娘の私が父の声を間違える筈がなかった。
『実はお父さんは昔から実用性のあるロボット開発に携わって来ました。それはお母さんと結婚した後も工場の仕事に支障がない範囲内で続けて来ました。小春が生まれて、そしてお母さんが亡くなってからは万が一に備えて小春がひとりぼっちにならないためのロボット開発に力を注いで来ました』
「……ロボット」
昔の父は名のある科学者だったという話を訊いていた。それがまさかロボット開発に関わっていたなんて……
(そんなの初耳だよ!)
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