ひだまりロボット

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「小春──起きろ」 「……ん」 「時間だ、起きろ」 「……んん…」 「今すぐ起きないと布団を剥ぐ」 「!」 私は有り得ない速さでベッドから飛び起きた。 「おはよう、小春。朝食の支度が出来ているから食べよう」 「……」 「顔、洗って来い」 「……はぁい」 ヒナタが家にやって来てから早三日。 初めて家に来た時の衝撃が冷めやらぬ内に始まった同居生活は今のところ何事も無く過ぎていた。 今ではお互い『ヒナタ』『小春』と呼び合う仲となり関係的には兄妹──という設定でインプットされているようだった。 (まぁ、流石にお父さんじゃキツいよね) 「いただきます」 「いただきます」 ヒナタは毎日の食事の支度に加え掃除洗濯などの家事を完璧にこなしていた。 昼間私が学校に行っている間は亡くなった父が通っていた大学で何やら仕事をしているらしく『ロボットとして働いてそれなりの賃金を貰っているから生活費の心配はいらない』と世帯主っぽいおかしな台詞をいったりしていた。 「何だ」 「! な、何が」 「先刻から俺の顔をジッと見てる」 「あ……えっと……前から思っていたけどヒナタってロボットなのにご飯、食べるんだね」 「普通に食べられる。だけど体内に溜まった消化物は大学で取り除いてもらっている」 「だったら食べなきゃいいのに」 「ひとりで食事するのは寂しいだろう」 「…え」 「食事は沢山の人と食べた方がいいと博士がいっていた」 「……」 「だから勿体無いとか思わないで食べている。まぁ、取り除いた消化物も他のものへの餌や肥料に変わるからそんなに無駄な事でも──」 「~~ちょっとぉ今、食事中」 「何か変な事をいったか」 「……もう、いい」 『食事は沢山の人と食べた方がいい』 (それって私のことを思っての言葉だよね) その言葉が心の中にジワジワと温かさをもって広がっていった。
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