10人が本棚に入れています
本棚に追加
それから、彼女と
又話す機会はなくなった。
むしろ避けられているようにも思った。
手紙抜き忘れたの、気まづかったのかな…。
とか僕はよく分からない心配をしてた。
高校3年に入り、
春も夏も秋も冬も、あの公園を通る。
彼女はいない。
もう、卒業だ。
話すことも無いだろう。
僕の初恋だった。
あの泣き顔も、話し方も、
笑顔も、もう見れないと寂しく思った。
高校3年、2月14日。
今年は0だなと、思いながら帰る。
すると後ろから、声をかけられた。
「しょうくん!」
彼女だ!
こんな所にいる事も、僕を下の名前で
呼んだ事にも驚く。
「コレ、受け取って欲しいっ。」
大きな袋を渡してくれた。
今年もくれるのか、
1度も話してもいないのに…、
律儀な子だなと思う。
義理であれ、嬉しかった。
「あっありがとう。」
こんな時に、気の利いた言葉1つも言えない。
「しつこくてごめんなさい。
迷惑かなっておもったけど、
これが最後だから、渡したくて…。」
「全然、迷惑じゃないよ。
むしろ、嬉しいし。」
「あの、それ本当は去年
渡したかったかったんだけど…
間に合わなくて。」
去年…?なんだろうと袋を開けてみる。
「マフラー?」
「う、うん。
でも、あんまり上手く出来なくて…。」
広げてみると、確かに不出来だった。
幾つか穴も空いている。
いやでも、すんごいどうでもいい位
めちゃくちゃ嬉しい。
「去年のも…チョコも、
不味かったって聞いて。
謝りたかったけど、その…。
嫌われたかなって…。」
「全然、全然。
嫌いなんて、そんな、違うよ。」
「でも、手紙…。」
ああ、あれか、
優子さん宛の件の事を言っているのか。
「大丈夫、貰えただけで、
嬉しかったし。
優子さんには、申し訳なかったけど。」
「えっ優子?優子って?」
「あのチョコは、
優子さん宛だったんじゃないの?」
「え?え?え?」
何だか混乱しているみたいだった。
最初のコメントを投稿しよう!