第3章 地獄労働組合

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第3章 地獄労働組合

赤鬼 「しかしこの労働環境をなんとかせにゃ。あまりにふえる亡者に最近では鬼たちがストライキしようとかの声があがってきとるぞ。」 黒鬼 「なんでも大叫喚地獄(だいきょうかんじごく)じゃあ鬼たちが劣悪な労働環境を改善しようと地獄労働組合(じごくろうどうくみあい)をつくったらしいで。うちでもつくろか、言う鬼たちがポツポツで始めとる。緑鬼(みどりおに)が熱心や。」 赤鬼 「緑鬼ってあいつやんな。おおい、緑鬼は~ん。組合つくるんやって?そもそも地獄労働組合ってなんや?」 緑鬼 「ああ、赤鬼さんですね。 質問ですか。 まずは、地獄労働組合とはどのようなものなのか。説明しましょう。」 と言って説明を始めた。 緑鬼 「 まずは地獄労働組合の基本について説明していきます。 ①そもそも地獄労働組合とは 地獄労働組合は、地獄の労働者である鬼が主体となって作っている組織です。 雇用者、(この場合は閻魔ですが)、と交渉をして、鬼の地位の向上や労働環境の改善などを求めることが主な役割です。 たとえば、雇用者に対し、誠実に雇用契約の条件を守らせることや、雇用人数の増加を求めることなどがあります。 地獄労働組合は鬼が組織する団体なので、構成員の大部分は「鬼」でなければなりません。亡者などは組合員にはなれません。 労働組合を構成する鬼のことを「組合員」と言います。 ②労働組合の目的 地獄労働組合は、「労働条件の維持改善その他地位の向上を図ること」、すなわち、労働者たる鬼の地位の向上を主たる目的としています。 雇用者、(閻魔)と労働者、(鬼)の立場を比較すると、明らかに労働者の方が弱い立場にあります。 雇用者(閻魔)は大きな社会組織となっていることもありますし、労働者(鬼)と比較して権力も十分にあります。 労働者とのトラブルが発生しても一方的に懲罰して問題を終了することもあります。 これに対し、個々の労働者は、労働時間をふやされたりしても、個人で争うことは非常にハードルの高い行動です。 そこで、労働者が団体を組織して、構成員の権利を守ろうとするのが地獄労働組合の目的です。」
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