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黒鬼に話かけられて、牛頭馬頭(ごずめず)の2匹はつぶれた亡者たちを踏みながらこちらにやってきた。
牛頭(ごず)
「あーあれな。閻魔(えんま)さんに言ってみたらとりあえず鬼を100匹(ひき)【この小説では、鬼の数え方は人でなく匹】ほど増やすそうだ。」
赤鬼
「え、100匹?足らん足らん、そんな程度ではとてもまかないきれへんわ。もっと増やさんとまかないきれんわ」
牛頭(ごず)
「いやーなんでも鬼をふやすことそのものはできるらしいけど、やがて戦争が終わったとき大量に鬼があまることになるんがいやなんで、そう簡単には増やさないらしい。」
黒鬼
「でも、完全に人手(ひとで)、いや鬼出(おにで)足らへん、こないだも一気に人きよったで。あれなんや」
牛頭(ごず)
「ミッドウエイで日本軍が負けて以来、戦争で死ぬ人間が急増しとるみたいや。」
そのとき、上から人が雨のように降ってきた。また新しく死んだ地獄の亡者である。
基本的に新しい死者は地獄に上から降ってくる。
厳密にいうと死者は人間界から地獄までの1千由旬(いっせんゆじゅん)つまり7000キロの距離を落ちてくるのである。
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