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とんでもないことをこの人に言わせてしまっている。そう気付いても、久遠寺さんの言葉を止めることはもうできない。これは、彼の懺悔だ。
「お恥ずかしい話ですが、愛美の母親には、どこか文子さんの面影がありました。そして、私はこの女と出会いたかったのだと……もしかしたら、文子さんに憧れたのもそのせいだったのでは、と考えるほど。けれど、彼女を妻に迎えようとすれば兄たちの二の舞になるような……愚かですが、そんな気がしました」
「久遠寺さん」
「そうして、会社と家を支えることに必死で。逃避するように愛美の母親との生活に溺れ、菜々子を放置していたことを──そのせいでこんな事態を招いてしまったことの責任は、取るつもりです。私の残りの生涯を全てかけても、足りるかどうかわかりませんが」
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