愛というものをさだめられた日。

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  陽香の押す車椅子に揺られ、俺は空に流れていく雲を見ていた。 「仁志くん、寒くない?」  心配そうに後ろから覗き込んできた陽香の目尻が、赤くなっていた。さっき、久遠寺さんが帰ったあとで泣き崩れていたせいだ。  陽香は何度も俺に「ごめんね」と繰り返した。なぜ謝られるのかわからなかったけど、何かと自分のせいにしがちな俺と彼女はよく似ている。陽香は泣けない俺の代わりに泣いているんだろう。  だから陽香が泣きやむまでずっと胸にもたれさせ、昔のままの艶やかな手触りの髪を撫でていた。  弘毅に刺されて、死ななくてよかった──今頃、そう思った。 「大丈夫だよ。コート着せてもらったし、ひざかけも。過保護なくらいだ」  そう笑顔を返すと、陽香は複雑な笑みを浮かべる。  きっと、さっきの気持ちがまだ尾を引いているんだろう。 「ねえ、陽香」 「なあに」 「俺が父さんと母さんの子じゃないって、母さんから聞いたの」 「あ……」  振り返ると、陽香は眉尻を下げ素直に頷いた。 .
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