手記Ⅰ 缶詰の新しい開け方

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缶詰を取りあえず比較的車通りの多い道まで運んだ。ここはなだらかな傾斜になっていて、それが本流へと繋がる道だ。 道幅はそこそこ広く、立派なものから廃れたものまで多くの人間の住宅(すみか)が一本のその流れに沿って綺麗に並んでいる。また人間の学校が本流より少し向こうにあり、道の両端に備え付けられた歩く人間専用小道の中をよく学生たちが通るのを見かける場所でもあった。 この道よりも本流の方が圧倒的に車通りが多いのは盲目のモグラたちの目から見ても明らかである。 しかし先程も述べたように、車とは危険を具現化したような生物であるため、本流でこの手法を行うことは私にもできない。 時々流れの中へ飛び出しそうになって怒られている人間の子供を見ることがあるが、人間にとってもどうやら危険なものらしい。そんなに危険ならどうして使おうとするのか。 怒られる子供が不憫でならない。
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