笑い声

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笑い声

「ねぇ、大切って字は、どうして大きく切るって書くのかな?」 日曜日の昼過ぎ。ぬるい風がベランダから吹き光を透かすベージュ色のカーテンを揺らしていた。 座椅子に座る僕の太ももに、みちるちゃんの形のいい頭が乗っかっていた。 その重みと熱を感じていたら、ふと、そんな質問をしていた。 「え、違くない?」 「違うって?」 「大きく切る、じゃなくて、大変切実、ってことなんじゃないの」 大変、切実、かぁ。 そうか、うん、そうかもしれない。 確かに、僕にとってみちるちゃんの存在は、大変切実だ。 「ねぇ」 「んー?」 みちるちゃんの鼻から抜ける声は甘い。 「一緒に住もうよ。みちるちゃんの部屋、家賃高いんでしょ? もうさ、週の半分以上一緒にいるんだし、もったいなくない?」 僕は、今まで何度もしたその提案をダメ元でいいながら、みちるちゃんの頭を撫でる。 するとみちるちゃんは横向きになっていた体を天井に向け、目を大きく見開き、口をへの字に曲げて僕を見上げた。     
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