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一目惚れだった。
柴田愛美は単純に可愛かった。
顔が小さかった。
知的な上品さと少女のあどけさなさが両立し、清潔感と爽やかさに溢れていた。
肌は白く、髪は黒かった。
化粧はナチュラルで嫌味もケバケバしさも無い。
大学の学園祭で毎年行われているミスコン。10人の女子大生が肩と両腕を露出した真っ白なウェディングドレスを着て壇上に立ち、審査員や観客達の視線を集めている。カメラを抱える男達が一斉にフラッシュを焚いている。雑誌のカメラマン達は事前に与えられた腕章を巻き、撮影がし易い壇上と客席間の通路に配置されていた。客席にも高価なカメラやスマートフォンを向けて、純白の彼女達を熱心に撮影している男達が居る。大抵がデブで眼鏡で不細工だ。
愛美は左から4番目に立っていた。俺が付き合っている女性だ。同い年。将来は女子アナになりたいと雑誌の記事に書かれていた。そんな話、俺の前では喋ったこと無かったけど。
ミスコンの実行委員の一人である俺は、舞台袖から愛しい愛美の姿を見つめていた。
近頃は男女平等だのうるさいから、ミスターコンも企画している。午前中はミスターコンが此処で開催されていて、大学の美青年達がスーツを着て壇上に立ち、客席は女の子ばかりだった。男の客はせいぜい美青年達の親御さんか友人知人くらいしか居らず、カメラマンの人数も少なかった。
ミスターコンが終了し、客を一旦全員払い出すと、客層が完全に変わっていた。
1年生からこの企画に携わっている俺は同じ光景を3回見た。来年は就職活動で忙しくなるから、3年生で迎えるこの学園祭が事実上最後と云った気持ちで臨んでいた。
青春の黄昏。
日本の大学は4年制だ。3年生に上がれば後半に入る。自分の青春が終わろうとしているとはっきりと感じた。
青春の終わろうとする中、愛美は一番美しく咲いていた。
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