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――1ヶ月後――
彩香の葬儀を終え、みんな当たり前のようにいつもの毎日に戻っていた。
世界各地で毎日人が死んでいる。
それでも時間は進むのだ。
生きてる人間はこれまで通り生きていかなきゃいけなくて、死んだ人間は戻ってこない。
佐和子でさえ、弦蔵が死んだ事実を受け止め、役所関係の書類の処理に走り回っている。
彩香を失った野本もまた、悲しみを抱えながら仕事に復帰する。
心を占めるのは後悔ばかり。
『あの時、一緒に片付けに行っていれば…』
『あの時、コテージ内の確認をしておけば……』
今となってはどうしようもできないタラレバ話。
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