悪魔降臨

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ひとりぼっちになった野本の部屋には、彩香の荷物が残っていた。 籍を入れたわけでもない二人だ。義父(ちち)である神藤に遺品を返すのは当然なのだが、まだ踏ん切りのつかない野本は部屋の中をそのままにしておいた。 彩香の葬儀に参列するため北海道にやって来た翔も、少し長めの休みをもらってきたらしい。 生気を失った兄を心配し、甲斐甲斐しく慣れない家事をやっている。 「兄貴、仕事どうすんの?こんなに休んで大丈夫?」 翔が何を聞いても、あれから野本は一言だって話さなかった。
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