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しかし、どんなことも前触れなくやって来る。
どんなに慎重に生きていても、その日は突然訪れるのだ。
野本と彩香だって、まさかあんな吹雪の山中に誰かが潜んでいたなんて想像しなかっただろう。
やっと山を下りれる……。
そう思っていた矢先に彩香を失い、野本は自分を見失っていた。
ここ最近、食事もろくにとっていない。
たまに彩香の部屋に行ってはベッドに横になり、彩香の匂いを確認していた。
もうこの世にはいないと知りながらも、まだ記憶が鮮明に残っているのだ。
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