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緋浦と五十嵐もまた、同じようなことを考えながら、後悔する毎日を送っていた。
「事件性は無い。事故よ、事故」
昨日発見された遺体の解剖結果をもらうため、緋浦の元を訪れた五十嵐が報告書を受け取りながら、暗い表情を見せた。
あの事件から五十嵐の表情は暗く、冗談さえ言わなくなった。まだ一ヶ月しか経っていないのに、またどこかから彩香が現れそうな気がしてしまう。
だからだろうか。
この二人は恋人でいることを諦めた。
別れた後も仕事で関わる事もあるから、なんとか最悪の別れ方を避けたつもりだったが、相変わらず五十嵐は落ち込んでいる。
「で?アイツは?」
緋浦が別の報告書に書き込みしながら訊くと、五十嵐は「ああ…」と、顔を上げる。
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