悪魔降臨

26/31
前へ
/341ページ
次へ
――― 緋浦と五十嵐もまた、同じようなことを考えながら、後悔する毎日を送っていた。 「事件性は無い。事故よ、事故」 昨日発見された遺体の解剖結果をもらうため、緋浦の元を訪れた五十嵐が報告書を受け取りながら、暗い表情を見せた。 あの事件から五十嵐の表情は暗く、冗談さえ言わなくなった。まだ一ヶ月しか経っていないのに、またどこかから彩香が現れそうな気がしてしまう。 だからだろうか。 この二人は恋人でいることを諦めた。 別れた後も仕事で関わる事もあるから、なんとか最悪の別れ方を避けたつもりだったが、相変わらず五十嵐は落ち込んでいる。 「で?アイツは?」 緋浦が別の報告書に書き込みしながら訊くと、五十嵐は「ああ…」と、顔を上げる。
/341ページ

最初のコメントを投稿しよう!

649人が本棚に入れています
本棚に追加