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「ただいま」
仕事から帰りキッチンに顔を覗かせると、愛しい人の笑顔があった。
「あ、お帰りなさい」
彼女はそう言った後、ハッとして姿勢を正し、丁寧に頭を下げた。
「明けましておめでとうございます」
同じように野本も深々と頭を下げると、どちらからともなくふっと笑いが漏れた。
「こんな風に新年を迎えられるなんて思っても見なかったけど……」
野本は照れたように微笑み、顎を撫でる。
「昨年はいろいろありましたし…本当に純一さんにはお世話になりました。今年もよろしくお願いします」
そう言ってまた彩香が頭を下げると、野本も慌てて頭を下げる。
再び顔を上げた時には、お互いまた笑い合った。
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