3話*

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 改めて自分の願望という名の欲望を、男性に対して告げる晴斗は、羞恥心で顔が真っ赤に染まる。男性は愉し気に笑みを浮かべながら、晴斗に問いかけてくる。 「激しいのと、優しいのと、どっちがいいんだ?」 「お、お任せで……。あなたに、任せます……」 「分かった」  男性は納得した様に頷くと、自分の顔を晴斗の顔に近付ける。端正な顔つきをしていると晴斗が見惚れていると、晴斗の柔らかい唇に男性の薄い唇が触れる。ちゅっと触れるだけの口付けを落としていく。初めてされる口付けに気持ち良さを見出して、晴斗は目を潤ませて享受する。男性は怖がらせない様にしながらも、欲情を隠さない瞳で晴斗の事を見つめてくる。その男性の瞳を見ていると、晴斗の身体にさらに熱が篭ってしまう。  ちゅっちゅっとキスをされていくと、もっとと強請る様に晴斗はおずおずと口内を開けてしまう。その隙を見逃さずに、男性は晴斗の口内に分厚い舌をいれる。晴斗の引っ込んだ舌を追いかけるようにして、男性の舌が絡ませていく。ぐちゅっ、ちゅっと淫らなキスの音が部屋の中に響いて、晴斗の身体に快楽と言う名の熱が篭る。舌を絡めて、吸い付いていく。その度に、晴斗の身体はびくんと跳ねて、思わず男性の腕を掴んでしまう。まるで、もっとと強請っているようで恥ずかしいと思った。男性は目を細めながら、晴斗の要求に応えていく。ようやく満足したのか、男性は顔を離す。晴斗の顔は紅く染まり、とろとろに蕩けた瞳で、ぼんやりと男性の事を見つめてしまっていた。男性は低く笑うと、晴斗に訊ねた。 「……どうだ、キスの感想は?」 「す、すごかったです……」
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