4話

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4話

 ふと、晴斗が目を覚ますとそこはホテルの一室の中だった。どうして自分がここにいるのだろうかと思いながらも、昨日の出来事を思い出して顔を真っ赤にする。そして、自分の身体を見回してみると、綺麗に清められている事に気付く。初めてのセックスは、腰が痛くなるものだと思いながら、辺りを見回すとソファーに男性が座っているのが見えた。男性は晴斗の存在に気付いたのか、顔を向けて「起きたのか」と言ってくるので、晴斗は「はい」と答えた。窓の外を見ると、朝日が射し込んでいて夜が明けてしまったのだと気付く。これで男性との行為が終わってしまったのだと、晴斗は一人寂しく思いながらも、身支度を整えている男性に対して声を掛ける。 「あの……。ありがとう、ございました」 「……お前、変わっているな」  呆れたように溜息を吐きながらも男性は、自分の胸ポケットから何かを取り出すと、晴斗に手渡してきた。慌てて晴斗は受け取ると、それは男性の名前と電話番号が書かれていた名刺だった。 「俺はいつもあの店にいる。……また、俺に抱かれたくなったら、金を持って来るといい。金さえあれば、相手してやる」  待っていると晴斗の耳元で囁くと、男性は悪い笑みを浮かべながら、部屋を出て行くのだった。
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