5話

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「晴斗くん、何か飲むかい?」 「じゃあ、カルーアミルクをお願いします」 「分かったよ。マスター! カルーアミルクお願いします!」  慣れた様子で洋平が注文を聞き終えると、マスターに告げる。マスターが洗練された職人技でカルーアミルクを作る様子を見つめていると、愁が口を開いた。 「お前、名前何て言うんだ?」 「えっと、俺は在原晴斗って言います」 「そうか、晴斗って呼ばせてもらおう。俺の事も好きに呼んで構わない」 「あ、ありがとうございます」  そういえば、晴斗は愁の名前は名刺を貰ったおかげで知る事が出来たが、対して愁は晴斗の名前を知らなかった事に気付いた。晴斗が自分の名前を告げると、愁はどこか目を細めては、笑むのだった。その姿に見惚れてしまいそうになる晴斗がいた。 「お待たせしました、カルーアミルクになります」  マスターが晴斗の前に、綺麗な細工で出来たグラスに注がれたカルーアミルクを、ことりと置いた。最初に飲んだ時と変わらない綺麗な淡い茶色をしていて、きらきらと煌めいていた。目を輝かせながら、晴斗は「いただきます」と小さく告げると、一口だけ飲んだ。お酒の独特の味わいの中に、甘いまろやかな味が口の中に広がって、飲みやすく感じた。晴斗は、マスターの作る他のカクテルも気になって、今度、来た時に試してみようと考えた。
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