6話

3/6

161人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
「俺はよく金曜日の夜に行っているんだけれども、良かったら今週の金曜日にでも、一緒に行かない?」 「いいの……?」 「もちろん。あそこのお店は、お酒もおつまみも美味しいし、店員さんも良い人だから、きっと気に入ると思うよ」  晴斗の提案に対して、富之は目を見開いた後に柔らかく笑んで「ありがとう」と告げる。それは、あまり表情が変わらない富之の初めて見る笑顔だった。富之の表情は、最初に声を掛けてきた時と比べて、どこか肩の荷がおりたのか、清々しい表情になっていた。  こうして晴斗は、初めて同じ秘密を抱いている富之と友達になった。そうして、今週の金曜日に、富之と一緒に『ナイトムーン』へ行く約束を取り付けたのだった。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

161人が本棚に入れています
本棚に追加