9話*

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 雪崩れ込むようにして晴斗の家に入った二人は、自然と足は寝室へと向かっていた。普段晴斗が使用しているベッドに、愁は晴斗を押し倒した。ベッドが軋む音が響き、愁は晴斗の身体の上に覆いかぶさった。お互いに求めあってしまい、止められそうにも無かった。晴斗は顔を紅く染めながらも、愁の空色の瞳を見つめて名前を呼んだ。 「愁さん……」 「俺はお前を今すぐに抱きたい」 「抱いてください……俺をあなたのものにしてください」  晴斗は愁に対して安心させるように、はにかむように笑むと、そっと愁の首に自分の腕を回す。晴斗の仕草に、愁は満足げに笑むと欲情の火を灯した瞳で、晴斗の蜂蜜色の瞳を見つめて愛を囁いた。 「好きだ、晴斗」  顔を近付けると、晴斗の柔らかい唇に深い口付けを落とした。ちゅ、ちゅっと唇を食むようにして落とされる口付けに、晴斗は目を潤ませて享受する。初めてされた口付けよりも、お互いに好き合っている者同士の口付けは、甘美なものに感じた。もっとキスを強請る様に晴斗が口を開いていくと、愁は見逃さずに晴斗の口内に分厚い舌をいれた。お互いに舌を絡ませ合い、吸い付いていく。どんなに美味しいカクテルよりも、とても甘く酔いしれそうになる。晴斗の口の端から飲み切れなかった唾液がシーツの上に零れ落ちる様子が、淫靡に見えてますます愁の興奮を高めていく。ちゅっ、ちゅっと淫らな口付けの音が寝室に響き渡り、晴斗の耳を犯していく。
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