2話

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2話

 改めて店内を見回してみると、自分の存在が場違いだと思うくらいに身なりの良いスーツを着込んだ男性など、様々な職業を思わせる男達が座って、酒を飲んで談笑しながら楽しんでいるのが見える。  ふと、晴斗はカウンター席の奥に座っている人物に気が付いた。一人だけで静かに座っている男性。艶やかな黒髪に前髪をあげていて、切れ長の空色の瞳。黒渕メガネをかけていて端正な顔つきをしている。高級そうなスーツを着込んでいて、自信に満ち溢れた雰囲気を纏い、たくましい身体つきをして洗練された男性に見えた。 (格好良い……)  晴斗は思わず見惚れながら、男性の事をそっと見つめていた。あんなに格好良い男性にめちゃくちゃに抱かれる自分を想像してしまい、思わず顔を紅くさせてしまい、後ろの孔が疼いてしまう。すると、近くのテーブル席に座っていた男性達が奥のカウンター席に座って居る男性の話をしていたので、晴斗はそっと耳を傾けた。 「おい。あの奥のカウンター席に座っているあいつは誰だ?」 「あぁ、このお店では有名なタチ専門で売っている奴だよ。ネコは絶対にやらないんだ」 「なるほどな」 「だが、あいつだけはやめとけ。値段が他の売り専にしている奴らより高いし、何より、自分の気が乗らないと抱かないって言う事で有名だ」  その言葉を聞いた晴斗は、自分の財布の中身を見比べながら、どのくらい払えばいいのだろうかと考えた。 (最初に抱かれるなら、あの男性が良い)  勇気を振り絞ってあの男性に対して声をかけてみようか。でも自分みたいな存在に声を掛けられても、きっと気が乗らないって断られるのがオチだろうか。晴斗は、夢のまた夢なのだろうと、一人溜息を零しカルーアミルクを飲んだ。
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