一章:ノクターン第二番

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その時、どこからかショパンの『ノクターン第二番』が聴こえてきた。音に耳を傾けて音源を探して歩き、路地裏に入る。 カフェ『ピアノ・セニョリータ』という店が音源だと気付き、扉を開く。 「いらっしゃいませ。こちらのお席にどうぞ。」 「ありがとうございます。」 「お飲み物はどうしますか?」 ウェイトレスの彼女がメニューを差し出してきたので受け取り、メニューを開く。 「カプチーノで。」 「かしこまりました。」 待っている間、鞄の中から『緋色の研究』という小説を取り出して読む。 10分ほど待っていると飲み物が運ばれてきた。 「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ。 ところで、恋愛相談をしたいのではないですか、お客様?」 「???どういう事だ?」 「やっぱりそうみたいだね、月哉の予想通りだ。」 「どういう事ですか?」 「お客様、お名前は?」 「夏宮 颯…です。」 「夏宮さん、恋してますよね?」 少し考えて、こう反す。 「…え?ところで、貴女の名前は…?」 「あぁ、佐藤 美夜(さとう みや)です。」 「ん、美夜ちゃんね。ところで、恋愛相談を俺がしたいと思ってるって分かったのはどうして?」
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