第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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 高校入学してすぐの時に知り合いが誰もいないクラスで運良く席が窓際になって新しい学校生活のスタートと孤独を満喫しようとしてたら、自分の席の前後が同じ中学の者同志で自分を跨いで当時の中学時代の話をされて聞きたくもないのに耳に入り放っておいてほしいのに時折話に混ぜようとする、あの時の感覚に似ている。   「新人のもやし!もや新人!」 「ウタルです。月野ウタルって名前でお願いします」 「ったく、新人の月野ぉ!家庭教師ってどういうことだ?」  聞かれた俺は昨日の事を言っていいのか所長に目で返答を求めたらすかさず火傘車(ひがさぐるま)所長が 「良いに決まってんだろ、俺達は仲間なんだからコソコソ自分らだけの手柄にしたり解決しようとするんじゃねーの」  仲間・・・。火傘車(ひがさぐるま)所長も世を平和にしていく特殊な仕事で昨日のような“W”と命懸けで戦っているんだ。仲間意識も強い人なんだな。そう思った俺は昨日の出来事と曜子の事について説明した。 「そんな事もあるんだなー」 「俺も初めてだな」  所長達もこの特殊な眼鏡が無くても“W”が見えるという人には会ったことがないみたいだった。 「まぁその女子高生に付いて、色々探るのも正解かもな。家庭教師が本業になって業務と訓練怠りましたってなったら日比谷が許しても俺が許さねぇからな!」  業務に関してはかなり熱い所長だな。俺、この人のいる支店に配属だったら慣れる前に逃げだしてたかもしれないなー。 「じゃあな日比谷、帰るわ。何か分かったら教えてくれ」 「あぁ」     
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