第一章 夢から覚めたら

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 実家を出て、地方で一人暮らしをしている俺は奨学金を借り、生活費はバイトで凌いでいた。  学生専用の格安アパートを借りていた俺は、中退した時にアパートを出なければならなかったのだが、同じ大学だった友達の名前で借りてもらって住んでいたのだが、その友達も一度留年はしたが今年で無事卒業する予定なので新しい住まいを探さなければならなかった。  バイトのやり過ぎで単位を落として落第。  おかげで貯金があったのでニートの時の生活費はなんとかなったが、借りてた奨学金の返済がきついので高給の情報は魅力的である。  だらだらした生活を続けると働くどころか部屋から出ることに億劫になる。  部屋から出ないと人と接することもないので人と喋ることも面倒になる。  こうやってひきこもりになり、駄目な人間が完成していくのだと想像できる。  実際ニートになって思うのだが、誰でも最初は希望があったはずだ。  中退したけど大学まで行ったのに今はニート。  世の中には大学を卒業しても、大手に就職しても、結婚してても子供を育ててもニートになる可能性はあるし実際なってる人もいるはずだ。  ほんの少しのボタンの掛け違いから始まるのだろう。  小さい子供はボタンの数も少ないからやり直しは簡単にできるし周りの大人が気づいてくれる。     
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