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「そんなわけないじゃん、何にも知らないのね!アートよアート。かぼちゃのアート知らないの?」
俺はハロウィンの様なものを想像していた。時期的に大丈夫なのか心配したがそれは俺の勘違いだったみたいだ。
「あとね月夜にかぼちゃ越しから見る瀬戸内海がとても素敵なんだって。ずーっと眺めてたら雲が龍の形に見える時があるんだって。それを見れた人は幸せになれるって言い伝えもあるのよ。信じるでしょ?」
「信じて誰も傷付かないのなら信じる主義だよ」
「素直でよろしい」
そう言って曜子は俺を指さした。幼い子が指すように無邪気な笑顔を向けて。時折可愛く見える時があるのは見える顔の角度の問題だろうと自分に言い聞かせた。幼い子の仕草をするのが可愛いとか思ってそれがロリコンに繋げられたりしたら困るからだ。他人のコンプレックスにとやかく言うつもりはないが世間様から良く思われていない、つまり事件になりやすいコンプレックスに間違われるのは
好ましくないのだ。
「あとねぇ美味しくて甘い物食べて温泉入って夜はリラクゼーションでマッサージしてもらうの!」
夢が願望になり、そしておねだりになっていく姿を見て俺は小悪魔だなと思った。
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