第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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 紅茶の入ったカップを置きながら所長は眉間にしわを寄せている。置いたカップからはまだまだ湯気が出ていたので舌が痛いのかもしれない。 「そのポーチの中にはペンダント以外になにか変わったものは入ってなかったのか?」 「ピンとかシュシュとか特に変わった者は無かったみたいですが」 「最近の女子高生は健全なんだな」 「どういう意味ですか?」  そう言ってから梓さんを見る所長を見て俺も梓さんを見た。 「私の時代も健全でしたよ」  ニコっとする所長。それセクハラですよ完全に。 「ウタル、梓ちゃんはこう見えても高校卒業してから不健全になったんだぞ」 「今でも健全です」  紅茶を飲みながら冷静に反論する梓さん。相変わらずゆっくり飲んでいるが。 「健全に露出しながらコスプレに参加しているのはどう説明するのだ?」 「趣味ですから。露出多いのはキャラの個性であって健全か不健全かは見る側の問題です。所長はそういう目で見てますよね?」 「俺はキャラのクオリティを重視してだな・・・」  慌て気味に紅茶を飲んだが『熱っ』と言って必死で冷ましている。 「ウタル、梓ちゃんはブラジリアンワックスでだなぁ・・・」 「所長、ペンダントの話どうするのですか?」  梓さんに話を遮られて曜子の話に戻った。 「今度その一緒に旅行に行く女子高生の曜子ちゃんを連れてきなよ」     
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