第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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―23― イケナイイケメンに優しい世の中  テスト期間に入っても仕事業務は変わらず、からしの配達と“W”退治に俺は精を出していた。午前中授業で昼から帰宅してても業務を早く終わらすわけにもいかないので家庭教師の時間は夜しかなかったが、時間を延長して遅くまでテスト対策を二人で行っていた。十二時過ぎた時の翌日の自主トレは眠いものがあったが続いても一週間位だし、曜子も俺が帰った後もまだ勉強して頑張っていたのを聞いて励みに頑張って続けることができた。  テスト最終日の夕方に事務所に来てもらう約束をしていたので、少し早かったが配達業務を終えた俺はそのまま事務所近くの駅で待ち合わせをすることにした。  駅までの道のりをのんびり歩いていると、河川敷の所で賑やかにしている人の群れが気になった。 どうやら若者が何かで楽しんでいるようだったが、よく見ると線路のコンクリートで出来ている柱の部分にスプレーで落書きをしているのだった。白昼堂々とする度胸は認めたいところだが、その度胸は他の機会に使ってほしいところだ。     
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