第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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その人生の大半を好きなことをしてお金を稼げるのならこれほど幸せなことはないのだろう。上手くいけばの話で、仕事自体はどんな職業でも大変であることは間違いないのだが。 そういう意味では、俺は今望まれている方なのかもしれないな。今まで一度も警察官に憧れたことはなかったが、世の不届き者に権力で立ち向かえるのは羨ましいとは思ったが、職業として警察官を選んでしまっては、やりたいこともやれないような気がしていたからだ。これはおそらくテレビの勝手な影響だろうと思うので、実際は俺が思っているようなことはないのだろう。 今、この柱に落書きをしている奴らを警察の立場だったらどう処理するのだろうか。器物破損で刑罰を与えることができるのだろうか。しかし、警察一人でこの連中全員を捕獲できるのは無理なような気がする。 それはなぜかと言うと、仮にこいつらが悪事をしている自覚があったとしたら、警察が来た瞬間に逃げちらかるだろう。いくら警察でも逃げる奴等全員を捕まえることはできないだろうし、この程度と言っては失言かもしれないが、警察を何人も呼んで全員を捕獲するほどの事件でもない。 面倒と思った警察は注意で済ますかもしれないし、一旦引き上げたら検挙などしないかもしれない。     
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