第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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「アートかネイチャーか知らんが、落書きは自分の家の壁か先月のカレンダーの裏にでもしとけよ」 「なんだとこの野郎」  最初に文句を言ってきた奴と、そいつと一緒に川に石を投げて遊んでいた奴の二人が俺の方に迫ってきてやる気満々ムードを出していた。 「俺は昨日で六回連続でバイトをクビになって腹の調子が悪いんだ、どうしてくれんだよ!!あ!?」  もの凄い言いがかりを投げつけられてしまった。バイトをクビになる経験もなかなか無能者の代表格だが、それが六回連続っていうのが凄い無能者のエースだな。それを今数分前に会った俺に、どうしてくれるのかと問いただす脳みそがどうなっているのか知りたくないが、気になって昼は寝れない状態になるかもしれんな。極めつけが腹の調子だが、これは本人に聞いてみないとわからないが、虫の居所が悪かったの言い間違いか、それともバイトクビになってお金がなく落ちているコロッケでも食べて本当に腹の調子が悪くなったのだろうか?どっちにしても俺の責任ではないことは確かなのだが。 「お前さ、バイトクビになるなんざ普通にしてたら早々なるもんじゃないだろ?普通にして普通に働け」 「うるせー!!」     
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