第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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「相変わらず豊満な胸を重力に逆らって美しさを保つ努力は怠っていないようだね」  梓さんの服の上からだが下乳の部分をさすりながら褒めているのか品定めをしているのかわからないセリフを吐いていた。  驚いたのは梓さんが全く嫌がる素振りをしないで平然としてソファにもたれ掛かっていることだった。 「お前相変わらずだけど、なんで同じ事したら俺は壁に吹っ飛ばされるんだろうか」  所長は梓さんにセクハラをしたら毎回何かしらの仕返しをされている。懲りない所長も所長だが。この男性の場合はセクハラではないってことなのだろうか。もしかしたら彼氏とか? 「日比谷君のにはエロはあっても愛がないからだよ」 「愛ねぇ」 「()めろ。健全な女子高生が見てはイケナイものを見てしまったという顔で開いた口が塞がらないでいるぞ」 「やぁゴメンゴメン。君が例の女子高生かい?美しいねぇ。清純ないい匂いがする。初心(うぶ)な唇も魅力的だ。胸の大きさも申し分ない美しさだね」  居たわ、そんなこと言う奴いないって言ったの撤回だわ。 「()めろ。本当の変態を見つけてしまったっていう顔で驚いているぞ」  梓さんに(たしな)められた男性は切れ長の眼で曜子を見ながらニコっとしてソファに座った。     
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