第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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 イケメンなら何をしても良いのかと言いたいところだが、実際梓さんは拒否をしておらず、曜子には触れず褒めるような言葉しか発してない。同じ内容でもさっき所長が悪ノリで言った言葉を俺が仮に言っていたらただの変態扱いで処理されていただろう。やはり世の中イケメンには優しく生きられるようになっているのか??不公平であると俺は心の中で叫んだ。 「その髪、地毛ですか?」  曜子の突然の質問。その男性が誰かよりも言葉よりも梓さんに対する行為よりも気になっていたのだろうか。 「もちろん地毛だよ。美しいかい?」 「ええ、とっても」 「ありがとう。君の髪も美しいよ」  こんなやり取りを俺も自然にできるようになりたいと心底思ったがさっきまで太もも見て喜んでいたのでは到底無理だなと思ってしまった。 「紹介しとくよ。今日呼んでた私立探偵の豚平豚平(ぶたひらとんぺい)だ」  非の打ち所がないイケメンにも弱点があるのだとしたらこの可愛らしい名前だけなのかもしれないな。 「二人とも宜しく。豚平って呼んでね」  フリガナ打たなきゃどう呼べばいいかわからん。
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