第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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 フランクなイケメンだな。それより所長が俺の事を話題にしてくれてることが嬉しかった。本人に言われる以上に第三者から聞く方が信憑性があるからだろう。失敗もあるけど頑張って一生懸命やってる甲斐があるもんだ。それにしてもウサギかぁ。一人暮らしなのかな?こんなイケメンで彼女いないのもありえないし彼女いてもウサギは飼えるか。俺もニートの時に寂しいと思ったけど動物を飼える程心の余裕がなかったな。逆に何か飼って育てる親心が芽生えた方が社会復帰する気持ちになるのが早かったかもしれないな。だけどそれでも気力出なかったら動物と共倒れになるからそれは可哀想だな。 「こちらが今日ペンダントを持って来てくれてる・・・」 「太田曜子です。はじめまして」  曜子はソファから立ち上がって挨拶した。こういう所が「ども」とか聞こえないような小さい声で挨拶する子達より好感を持てるところだ。育ちなのか性格なのか本人の意思なのか。  豚平(ぶたひら)さんが来て揃ったところで梓さんは紅茶を淹れてくれていた。  五人は全員ソファに座ってテーブルの上に置かれたペンダントを眺めてながら色々意見を交わしていた。その中でも豚平(ぶたひら)さんは随分興味を示していた。 「美しい石だね。とても美しい。おばあちゃんに戴いたんだっけ?」 「はい。おばあちゃんもおばあちゃんから貰ったって言ってました」  んー、というウネリのような言葉にならない声をだしながら手に持ってじっと見つめている豚平(ぶたひら)さんの眼差しは鋭かった。この眼で見つめられたらイケメン好きの女性は皆クラクラするだろうな。黙って名乗らなければって前提だが。 「ちょっと調べたいんだけど、暫く貸して欲しいって言えば迷惑かな?」 「えー?お貸しするのですか?穴開けたりしないですよね?」     
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