第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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 俺が制止しようとしたが豚平(ぶたひら)さんと同じように梓さんの特殊武器で顔面が仰け反る程強打されていた。毎回思うがこの大きな特殊武器をどこに隠し持っているのだろうか。 「梓さんは下ネタに厳しいですね」 「時と場合による。今日はお前ら子供がいるからな」 「俺も子供の部類っすか」 「童貞だろ?」  時が止まった瞬間だった。どれほど止まったかは人それぞれの感覚に誤差があるだろう。 「けど、豚平(ぶたひら)さんのスキンシップには寛大でしたね。行き過ぎたセリフは制止してましたけど」  止まった時を再び動かすように曜子が口火を切った。 「豚平(あいつ)は見た目がアレだろ?コスプレ仲間として見栄えがいいから連れて行ったりしてるんだ。黙ってたらイケメンだからな、他のレイヤーにも一目置かれたりして便利なんだよ」 「僕の美しい経歴について熱いトークが繰り広げられているのかい?」  鼻にティッシュを詰めてようやく鼻血が止まった豚平(ぶたひら)さんが洗面所から戻ってきた。 「それに豚平(こいつ)は女に興味ないんだよ」 「興味ないことはないよ。美しいもの全てに興味があるだけなんだ。女性というカテゴリーに拘らず美しければ男性でも女性でも関係ないってことだよ」     
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