第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い

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「つまり両性愛(バイセクシャル)なんだよ。だからって訳ではないんだが不思議と豚平(こいつ)に胸やお尻を触られても何も思わないんだ。かと言ってこのイケメンに興味が全くない訳でもないんだがな。自分でもよくわからないんだ」 「美しいってことは罪深きことだね水沢ちゃん」 「と言うことは、男性にも同じようにお尻触ったりしてるんですか?」 「もちろん!僕が美しいと思ったら男も女も関係ないよ」 「けど、普通(ノンケ)の男性にお尻触ったら嫌がられません?」 「そうなんだよ。美しいから触っているのに拒絶するなんて理解に苦しむよ」  これは相手の方が理解に苦しむだろうが、世の中に同じように苦しむ人は俺が知らないだけで少なくないんだろうな。 「全く同感だ!美しいから()れているのに拒絶するなんて理解できないね」  所長は真剣な顔でそう言いながら梓さんの太ももを撫で撫でして案の定鼻血が出るほど壁にふっ飛ばされていた。まさに美しいと思う人と思われても困る人との温度差の結末を目の前で見せられているようだった。
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