第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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 良い成績を上げたものを上から順に評価していく。  同じ点数ならより効率的にできたもの。  一生懸命したかどうかは過程を見てきた者でしかわからないからだ。  今は一生懸命やってきた自信と伴う結果を素直に喜ぼう。  金曜日、今日がテスト順位の発表がされるはずの日だったので、俺は『昭和堂』と看板に書かれたケーキ屋さんに立ち寄った。  店頭のブラックボードに手書きでおすすめの商品が書かれている。その中で俺は二度見をしたがまだ目が疑っている。  『きまぐれパティシエのこだわりチーズケーキ』  なにがきまぐれなのか?出勤しないのか?気が向いたら出てくるのだろうか?出勤しても「今日は俺、大工するわ」とか言ってケーキ作らないとか? 「壁の感じがクリーム塗りににてるから今日は左官するわ」とか?いやいやいや、いくらきまぐれでもケーキ作りの道は外れないだろう。 「店長ー!あいつまたシュークリームを大量に作ってます!」「誰かあいつを止めろー!」とか言われてるのだろうか?  量がきまぐれか?ならば、今日はこれを作ってくれって毎日指定されていたら大丈夫か。     
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