第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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 帰ってとストレートに言わないのが悲しさを押し殺した曜子の優しさだろうか。  俺に八つ当たりもできない程参っているのだろう。  こんな時に勉強しても頭には入らないなら切り替えが出来るまで待つのが正解だろう。  受験生にとって一日一日が大切なのではあるので早めに立ち直るのを期待するが。  俺は意気揚々に連れてこられた甘い食べ物達(アイテム)を不憫に思った。  どんな状況であっても特に女性には登場すれば歓喜を浴びるはずが袋から出されることもなかったからだ。  置いて帰ることも考えたが、折角のお菓子に八つ当たりされてもいけないので今日の所は持ち帰って明日所長達と三人で美味しく頂くことにした。
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