第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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 後にこのテストには”W”が関わっていたことが発覚した。なんでも担任に”W”が宿っていてテストのコピーが生徒に出回っていたのだ。おかしいのは意図的なのか曜子にだけ回ってこなかったことだったが、魔女狩り的に曜子を陥れようとすることあ分かったのは更に後になってのことだった。  どちらにしても一人の少女の自信と希望を打ち崩した罪は思い。今回のテストがフェアに行われていた場合の順位はどうだったのか。実力であの点数を取ったのだからやはり曜子は出来る素材なのだろう。  この時点では俺はまだ知らなかったことなので本気でクラスの実力が異常であるおもっていたと同時に曜子の落ち込み具合を気にしていた。 「まぁ傷心旅行ってことで俺が曜子ちゃんと旅行に行って混浴風呂で裸の付き合いで励まして来るって案も・・・」 「ありません。どこのオッサンが女子高生と混浴風呂の旅行計画に鼻の下伸ばしているのですか」  梓さんに窘められるがごもっともだ。 「じゃあ梓ちゃんと今後のアルパカ支店について混浴風呂で・・・」 「ありません」  即却下だった。そう言えば所長は何歳なのだろうか。聞いてもオッサンだよとしか答えてくれない。 「梓さんは休日は予定ないのですか?」 「ある時は忙しいが無い時は一日中寝て過ごして不健康だから出社してる」 「へーそうなんですか」  余程事務所の居心地が良いのだろうか。 「ウタル、こう見えても梓ちゃんは彼氏いるんだぞ」 「こう見えてってのは余計です」     
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