第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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 事務所での梓さんを知っているから尚更ギャップに萌えるのだが、一つの作品として見ても芸術的だった。一般には理解し難い趣味だとは思うが、やってる本人達は真剣なのが世間との悲しい温度差か。  しかし世間一般に認知や理解を求めていないのだろ。頭の固い大人が肌を露出して写真撮られてって評価をしたところでそんな大人に評価を求めていないだろう。やりたいことを決められた場所ですることに、その他大勢の理解は不要なのだから。  大学を中退した時に、変なプライドが邪魔をして何をするのにも踏み出すのに躊躇していた時があった。  只の高卒じゃない、大学行ったんだお前ら高卒とは違うんだとか、環境が整っていれば大学卒業も出来ていたはずだとか、自分の非を認めず周りの責任にして自分のプライドは持っていた。そこが大きく根本的な間違いだと気づくのに時間が掛かりすぎてしまった。  しかし、時間を無駄にした、もう取り返しがつかない、そう思い込んでいることこそが頭の固い融通の利かないことだと気づかされた。  学歴がなんだプライドがなんだ、一歩踏み出せばそこに道ができるんだ。今まで自分が歩んできた道もこれから歩む道も自分の道なのだから誰かと比べたり、比べようとする自分の中の余計な者を全て取り払えばいいんだ。  自分の足に枷を付けて一歩を重くしていたのは自分自身なんだと。     
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