第一章 夢から覚めたら

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 聞いといて無いって?なんだか損した気分になるのは俺の心が貧しい証拠なのか?まぁさておき俺はコーヒーならブラックを頼んだ。頼んだコーヒーはブラックでも就職する会社はブラックでないでおくれよと、今は神頼みするしかないのだが。 「OK。(あずさ)ちゃーん、コーヒー2つお願いね」 「わかりました」  紅茶が無いのなら最初から選択肢に入れなければよいのに。この人なりの気遣いなのか、冗談なのか。ニコニコしながら聞いてくれたおかげで、初対面という緊張感はかなり和らいだ。この所長、悪い人ではない印象を受けた。  受付をしてくれたあの女性の名はおそらくあずさというのだろう。梓ちゃんと言われて表情一つ変えずに給湯室に向かったのは、普段から言われ慣れてるのだろう。それだけ信頼関係が築かれているということか。俺がここに来た時に受け付けてくれたがその時から無表情なのは気のせいなのかもしれない。  しかしこの女性、小柄なのに胸ははち切れそうで、お尻はスタンディングオベーションをしたいくらい絶妙だ。黒縁のメガネに幼げな顔だが、タイトなスーツを着ているだけで社会人に見える。  そういえば先日、ここの求人広告を手渡してくれたのも梓さんだった気がする。何故昨日のことなのに来た瞬間に気付かなかったかと言うと、昨日の梓さんはツインテールでメイドの服を着ていたからだ。だからあの時は、ビラ配りのバイトの女の子としか思っていなかった。     
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