第三章 嘘の幸せと真実の絶望と

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 一番の問題は今しか見てなくて年数が経ってしまった親の考えだろう。親がいつまでも子供の世話をしているうちは自立が難しいだろう。だから親が子供から卒業しなければならない。ニートも親の責任にしてはいけない前提だが。  学生も卒業したくなくても学校から卒業を言い放たれると卒業しなければならない、社会に出て行かなければならないのだ。  子供が欲しいから結婚しようといきなり思い立っても相手は見つからないが、彼女が欲しいからいい人探そうと一歩踏み出せばやがて結婚まで行くことも可能なように、ニートも働こうとい気持ちになることから始めればよいのだ。  まずその気持ちになれば仕事探したりバイトに行ったりと行動に移し、やがて正社員として企業に居て欲しい人物に育っていくだろう。  つい先日ニートを卒業したばかりの俺が言うのでは重みがないかもしれないが、前向きな気持ちの一歩を踏み出すことから始めるとよい。  ニートの事を考えながら会社に戻っている時に曜子から連絡が届いた。腕時計の針が四時を過ぎた頃だった。  高価な物ではないが大学の合格祝いに両親が買ってくれた腕時計を今でも大事に俺は使っている。  両親共に高卒だった為か大学に合格したことを随分喜んでくれていた。  母親は一人暮らしが心配のようだったが父親は親戚とかにも随分自慢をしていたと母親から聞いたことがある。     
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